夢元買い占め

夢元が入手困難になりつつあるので、東急ハンズ池袋店の店頭にあった12本を買い占めてきました。
夢元は他ブランドのけん玉と比べて明確に品質がよいです。現在公式の大会で使用できるけん玉との比較としては、2ch的表現ですが、

夢元 >>> (越えられない壁) >>> 新富士 > 大空 ≒ TK16 Master ≒ 新さくら

といったところでしょうか。
全日本選手権の参加者の中のシェアは、感覚ですが9割を超えています。初段くらいだとけん玉の個体差は大して気にならないと思いますが、高段者になるとけん玉の個体差で技の精度が変わるのがわかるようになります。全日本選手権の参加者は最低二段以上ですから、夢元と他のけん玉に明確な違いがあることは確からしいといえます。
夢元がなくなるのはプレイヤーとして非常に痛手です。けん玉の競技レベルが全体として下がると言っても言い過ぎではないでしょう。オリンピックで話題になった、競泳におけるレーザーレーサーのように、道具によって競技のレベルが変わるということは起こりえます。"達人は道具を選ばない"などという言葉はありますが、それはあくまで素人に対してのみで、達人同士の場合、力量の差は小さいので、道具の差が相対的に大きくなります。レーザーレーサーの開発者も、99%は選手の資質で、道具は1%ということを言っていますが、高いレベルにおいては1%は無視できません。
夢元撤退の理由は大小様々あるでしょうが、1つに事業の採算性というところはあるのかなと想像します。競技用けん玉というニッチな市場なので仕方ないとも言えます。けん玉の競技人口はせいぜい数百人のオーダでしかありません。なので主たる販売のターゲットは競技者ではないライトユーザになります。
売上を伸ばすには、単純には単価を上げることと、販売数を増やすことが考えられます。販売数を伸ばすのは、ニッチな市場であること、また、ライトユーザにとっては消耗品ではないことからなかなか難しそうです。単価については、現在だいたい1300円前後ですが、競技者としてはこれは安すぎると感じます。夢元のクオリティであれば倍の2000〜3000円であってもおそらく競技者は買うでしょう。個人的には5000円でも出せます。しかし、主たるターゲットのライトユーザにとっては、クオリティはあまり関係ないのでわざわざ値段の高いものを買う理由がなくなってしまいます。ライトユーザはおそらく多くが小学生なのでなおさらです。単純に単価を上げたり販売数を増やすのは難しそうです。
あとは、販売戦略としてよくありそうなのは、普及モデルと上級モデルを作って、普及モデルで利益を上げつつ、上級モデルは採算度外視でクオリティを高めるといったものでしょうか。たとえば、夢元Liteを1000円で販売し、夢元Proを3000円で販売するという、Happy Hacking Keyboardのような商売です。生産能力の問題もあるのでLiteのほうは機械のみで完結するような仕組みにできないと難しそうですが。
コストの問題だけではないと思うので簡単ではないと思います。具体的な解決策を提示できないのにあまり勝手なことを言うのも何ですが、一けん玉プレイヤーとして、良い道具を使いたいと思うのは当然なので、夢元はなくさないでほしいと思うのです。