けん玉国際交流 EJC2012, Poland

EJC2012


去年に引き続き、7月末から8月頭にかけてEuropean Juggling Convention (EJC)に参加してきました。
今年の会場は、ポーランドのルブリンでした。ルブリンと言っても、日本人にはあまりなじみがないと思いますが、首都ワルシャワから電車で2時間半ほどの距離にある、人口35万人程度の都市です。
EJCは、アメリカで行われるIJA Juggling Festivalと並ぶ世界最大のジャグリングの祭典です。EJCは毎年ヨーロッパの都市で開催され、今年で35回目となります。約1週間のイベント期間中、ヨーロッパをはじめとして世界中から数千人のジャグリング愛好者が会場を訪れ、街全体がジャグリング一色になります。
ヨーロッパのジャグラーの間でのけん玉の認知度は高く、むしろ知らない人の方が少ないようでした。けん玉はジャグリング道具の仲間として受け入れられつつあるようです。
EJC会場内のプレイヤーの数は、ボール、クラブ、リングなどのトス系が最も多く、ディアボロやデビルスティックも多かったですが、日本でよく見かけるシガーボックスなどは意外に少なく、人数ではむしろけん玉プレイヤーの方が多いくらいでした。
EJCの公式サイトでも、けん玉は他の道具と同列に紹介されています。

EJC2012公式サイト: http://ejc2012.org/

EKO2012

8/1に、European Kendama Open 2012 (EKO)が開催されました。EKOは、今年で4回目を数えるヨーロッパのけん玉大会です。EKOへの参加は旅の最大の目的です。
4年前から、イギリスのプロジャグラーであるVoidさんを中心として、EJC内でEKOが開かれるようになりました。私は去年、ドイツのミュンヘンで行われたEKO2011に、日本人として初めて参加してきました。今年は、私と、向井六段、小川五段、田島五段、坂井五段の5名のけん玉プレイヤーで参加してきました。
今年は、地理的な条件がよかった去年と比べて参加者は減ってしまいましたが、11カ国28名の選手が参加しました。去年会ったけん玉プレイヤーと再会することができ、また、新たに多くの海外のけん玉プレイヤーと出会うことができました。ヨーロッパやアメリカなど海外のけん玉プレイヤーは、Facebookなど主にインターネットを通じて交流を深めており、EKOは国際交流の場としても重要な意味を持っています。
EKOでは、初心者を対象としたBeginners Division、上級者を対象としたAdvended Division、技の速さを競うSpeed Trick Division、オリジナル技を競うBest Trick Divisionの4部門の大会が行われました。
Advanced Divisionでは向井六段が二連覇し、Spped Trick Divisionでは坂井五段が優勝しました。また、Advanced Divisionで準優勝したイギリスのJohnny選手がヨーロッパチャンピオンとなりました。海外のプレイヤーの腕前は去年より段違いに上がっており、日本の五段・六段クラスのプレイヤーと互角以上の勝負を繰り広げることも珍しくなくなってきました。
EKOは、単にけん玉の腕を競うのみでなく、ショーとしての要素も大切にしており、選手も観客も楽しめるとても気持ちのよい大会でした。けん玉の大会をコンテンツとして成立させることはけん玉の発展に不可欠で、日本においても検討しなければいけないでしょう。見た人が「楽しい」「やってみたい」と思えるようなイベントが理想的だと考えています。

EKO2012結果: http://www.kendama.co.uk/EKO2012results.html

ヨーロッパのけん玉プレイヤーの実力

ヨーロッパのけん玉プレイヤーの実力は、去年よりさらにレベルアップしていました。元々非常に高い難易度の技をこなしていましたが、安定性についても磨きがかかっていました。
去年は、もしかめを200回以上できるプレイヤーはほとんどいませんでしたが、1000回を苦にしないプレイヤーも珍しくなくなってきました。四段・五段相当の実力を持ったプレイヤーも続々と現れています。
ヨーロッパやアメリカでは、多くのけん玉コミュニティがあり、大会やけん玉教室などが多数行なわれています。YouTubeなどでけん玉をアピールするプレイヤーもどんどん増えています。ヨーロッパやアメリカのけん玉プレイヤーは大人が中心なので、自分たちで新たな技やイベントを考え、さらに外に向かってけん玉の世界を広げています。
もう日本からけん玉を「教えてあげる」時代は終わりました。海外のけん玉プレイヤー達と互いに認め合い、ギブアンドテイクできる時代がきたと感じています。

OpenStage出演

EJCにはプロ・アマ問わず出演できるオープンステージというイベントがあります。1日に10組程度が出演する1時間半程度のショーがほぼ毎日開催されています。
これはけん玉をアピールする絶好のチャンスです。司会の方が、「明日出演したい人は後でステージ裏に集まってね〜」というようなことを言っていたので、あまり深く考えずにステージ裏に突撃してみました。オーディションでもやるのかと思っていたら、名前、国籍、道具、時間などを簡単に聞かれて、すぐに出演が決まってしまいました。
誰でも出られるとは言っても、みなさん腕に覚えがあるジャグラーばかりです。EJCのショーとしてDVDにも残る本格的なものです。事前の打ち合わせも、BGMや照明の使い方、紹介の内容などを細かくスタッフの方と打ち合わせしました。
演技内容は、私が級の技、段の技、宇宙遊泳系空中技のスタンダードなルーティンを2分程度で行い、続いて向井六段が、糸なし、複数のけん玉を使ったジャグリングスタイルのルーティンを5分程度で行いました。何回か失敗もしてしまいましたが、観客の方はジャグリングをやる方ばかりなので、拍手が暖かかったです。たくさんの拍手をいただき、観客と一体になれたとても気持ちのいいステージでした。ショーの後、他の出演者の方からも「よいパフォーマンスだった」「会場が暖まった」などの暖かい言葉をかけていただき胸がいっぱいになりました。
ジャグリング界にけん玉が受け入れられるには、パフォーマンスが必ず必要だと思っていたので、オープンステージに出演できたことは収穫でした。オープンステージに出演してみて、けん玉は充分にステージパフォーマンスに使えることがわかりました。よい勉強になりました。
もっとすごいことができる人はいると思いますので、けん玉でステージパフォーマンスをやってみようと思う人が増えるとうれしいですね。

ポーランド日本国大使館でのイベント出演

8/3に、在ポーランド日本国大使館広報文化センターでけん玉のイベントに出演してきました。
発端は、Facebookワルシャワ在住の日本人の方が、日本からけん玉プレイヤーがポーランドに来ることを大使館の方に紹介してくださったことでした。ポーランドに出発する直前まで連絡を取り合い、けん玉のイベントを行うことが決定しました。
イベントには、50名ほどの方に参加いただきました。まずけん玉のデモンストレーションを行ない、その後けん玉の体験教室を行ないました。テレビ局や新聞社の取材も入っていただき、とても楽しいイベントになりました。イベントの様子は、ポーランドでとても人気のあるTVN24という番組で取り上げていただきました。
また、日本けん玉協会から、けん玉18本と、けん玉の書籍を寄贈させていただきました。ポーランド親日国で、日本文化への関心も高いそうです。けん玉は日本文化を伝えるのに非常に有効なツールであると考えています。
ポーランドは食べ物がおいしく、親切な人が多かったので、楽しく旅をすることができました。物価も安く、のんびりした雰囲気なので休暇におすすめです。

けん玉イベントの記事: http://www.pl.emb-japan.go.jp/kultura/j_20120803.html

EJC2013に向けて

海外のけん玉プレイヤーと交流することで、けん玉は「楽しい」ものであると改めて認識しています。まして、けん玉は子供だけの遊びではなく、大人が夢中になって遊ぶほどの魅力があるものです。
けん玉の競技化により、愛好者が爆発的に増えたことは間違いなく、悪いことではないと思っています。しかし、競技としては無駄なものとしてそぎ落とされた部分にも重要な要素があったのだろうとも思っています。
自由にけん玉で遊ぶ海外のプレイヤー達を見ていると、彼らの方がけん玉の原点に近いかもしれないとも思えます。日本のけん玉プレイヤーが学ぶべき要素は多くあるでしょう。
来年のEJCは、2013/7/27〜8/3の日程で、フランスのトゥールーズ(Toulouse)で開催されます。海外のけん玉プレイヤー達と出会い、「楽しい」けん玉を共有できることを楽しみにしています。