数字で振り返る、紅白歌合戦けん玉ギネスチャレンジ2019

序章

2019年の年末も、2017年、2018年に引き続き、三山ひろしさんとともに、紅白歌合戦のステージ上でギネス世界記録に挑戦させていただきました。今回も、2018年に続いてちょっと分析的な視点で振り返ってみたいと思います。今回は私は最前列の115番を務めさせていただきました。

2018年の振り返りは↓から。

shakemid.hatenablog.com

2018年は、成功必達を命題として、定員124人に対して140名を招集し、選抜を行うとともに、練習で1回でも失敗したらリザーバーと即入れ替えるというかなり厳しい進め方でした。今回は、成功必達と言うよりは、挑戦を楽しむことを重視して、選考や入れ替えは行わないことになりました。事故や急病の際のやむを得ない場合に備えて、数人の控えメンバーだけを確保していました。

そのため、成功の確率は、集まったメンバーの個々の実力にすべて依存することになります。2018年は124人でしたが、今回は125人連続で大皿を成功させるチャレンジなので、125人連続で成功する全体の成功率をPとして、個々の大皿の成功率をpとすると、Pは以下のように表すことができます。

P=p^{125}

これの意味するところは、125人連続で成功するのは非常に難しいということです。仮に100回中99回大皿を成功できるメンバーを125人揃えたとすると、125人連続で成功する確率は以下のように28.5%となります。99%は高い成功率のように思えますが、ぜんぜん低いということになります。

P=0.99^{125} \fallingdotseq 0.285=28.5\%

さらに、仮に1000回中999回成功できるメンバーを揃えたとしても、125人連続となると88.2%となり、9割を超えません。

P=0.999^{125} \fallingdotseq 0.882=88.2\%

たかが大皿といえども、ここまで難しくなるのです。大皿という簡単な技を、難しいと思えるかどうかがこのチャレンジの肝だと言えます。2018年にこのチャレンジに成功したのはいかに難しいことであったかがよくわかると思います。

2019/12/29 リハ1日目

この日初めて、ギネス記録に挑戦する125人の内、一般人115人が一堂に会しました。今回この企画が決定したのは12/8ですから、準備にかけられたのはわずか3週間しかありませんでした。この短期間で115人集まったことはそれだけで驚くべきことです。そのうち2018年の経験者は7割ほどで、3割ほどは初めて参加するメンバーでした。

集まってすぐに、練習として大皿を100回連続で行いました。今回は、大皿100回連続を楽にできることを条件として参加者を募っていましたが、それでも、4名が1回ずつ失敗しました。100回の試行で個々の実力を正確に推定することは難しいのですが、昨年考えたモデルに当てはめて、成功率を推定してみました。

参加者のレベルを以下のように分けてみることにします。大皿100回のうち1回失敗するということは、下記の中級者のカテゴリに入ると考えられます。達人や上級者は100回程度の試行では失敗しないことが多いので、推定することしかできません。

カテゴリ 大皿1回の成功率 大皿100回連続の成功率 例示
達人 99.99% 99.0% 1万回に1回失敗する。高段者、大会上位者など。三山ひろしさんはここ。
上級者 99.9% 90.5% 1000回に1回失敗する。おそらくけん玉ヒーローズのボリュームゾーン。一般的な目で見れば「けん玉名人」。
中級者 99% 36.6% 100回に1回失敗する。2018年のDJ KOOさんはおそらくこのへん。
初級者 90% 0.027% 10回に1回失敗する。2017年のDJ KOOさんはおそらくこのへん。(例に出してごめんなさい。)

2018年と同様、達人クラスは44人と仮定して、中級者は4人、残りのメンバー77人は上級者として計算してみます。

  • 達人: 44人
  • 上級者: 77人
  • 中級者: 4人
  • 初級者: 0人

これで成功率を計算すると、以下のようになります。9割を切っているものの、まずまずの成功率ではあります。この値を12/29の時点で頭に入れていました。

P=0.9999^{44} \cdot 0.999^{77} \cdot 0.99^{4} \fallingdotseq 0.885=88.5\%

12/29 は、スタジオでの練習と、ステージ上でのリハーサル(板踏み)を含めて、8回の全体練習を行い、7回成功しました。1回の失敗はスタジオでの練習のときでした。成功率は87.5%となり、推定値と近い値になりました。

7 \div 8=0.875=87.5\%

2019/12/30 リハ2日目

12/30 も引き続き、スタジオでの練習と、ステージ上でカメラリハーサルを行いました。スタジオでの失敗はありませんでしたが、カメラリハーサルの際に1回失敗しました。全体練習は12/29からの累積で17回行い、成功は15回となりました。成功率は88.2%と、推定値に近い値のままでした。

15 \div 17 \fallingdotseq 0.882=88.2\%

2019/12/31 本番

この日は本番を迎えるのみで、スタジオでの練習を行いました。練習での失敗は1回もありませんでした。全体練習の回数はは12/29からの累積で26回で、そのうち24回成功していました。成功率を計算すると92.3%となりました。(試行回数が1,2回違うかもしれませんが成功率はほぼ変わりません)

24 \div 26 \fallingdotseq 0.923=92.3\%

この状態で、非常によい雰囲気で本番に臨みましたが、残念ながら本番では成功することができませんでした。最終的には3回失敗したので、成功率を計算すると以下のように88.9%となり、推定値と非常に近い値になりました。

24 \div 27 \fallingdotseq 0.889=88.9\%

ちなみに、2018年は本番含めて26回中25回成功しているので、成功率は以下のように96.2%と、非常に高い値に達していました。2018年の方がやや成功率が良かった印象ですが、試行回数が少ないので、有意な差があったとまでは言い切れません。

25 \div 26 \fallingdotseq 0.962=96.2\%

残酷なようですが、個々の大皿の成功率は元々かなり高く、そこからさらに2,3日で大幅に上昇することはまずないので、最初に集まった時点で成功率はほぼ固定されるということになります。全体練習の成功率に表れるのはあくまで結果なので、大数の法則により、個々の成功率に基づく期待値に収束することになります。決して低い成功率ではなかったので、願わくば本番で成功したかったですが、これは結果として受け止めるしかありません。

なお、ギネス挑戦後の現場は、非常に和やかで爽やかなものであったことを、重ねて強調しておきます。三山ひろしさんも他の芸能人の方も含めて、あの場のメンバーには信頼関係が醸成されていて、誰も責めたりせず、みんなで挑戦したことを讃え合っていました。三山ひろしさんもブログで言及されていますね。

ameblo.jp

フジテレビけん玉部部長のシマヲさんのこちらの記事もおすすめです。

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次回への展望

結果は惜しくも失敗に終わりましたが、すでに4回目の挑戦に言及されていたりして、次回に期待が持てそうです。過去3回は、あまりにも時間がない中での準備でしたが、次回は挑戦がある前提ならもっと準備に時間をかけることができるかもしれないですね。三山ひろしさん、そして、けん玉ヒーローズの今後の挑戦に乞うご期待です!

www.nikkansports.com