概要
ゴールデンウィークはどこかに遠征しようと思ってましたが、昨今の世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響で全くそんな雰囲気ではなくなってしまいました。天体観測は屋外でやることなので3密ではありませんが、買い物や食事はするので、旅行するのと大差はないでしょう。
しかし、この状況も裏を返せば、本来どちらかといえばアウトドア趣味と言える天体観測を、自宅でいかに楽しむかということを考えるチャンスとも言えます。というわけで、最新鋭の機材を使って、東京近郊の都会から夏の星雲を撮影してみました。
主な機材
都会で星雲を撮影するにはそれなりの機材が必要です。近年では、アマチュアでもなんとか手の届く範囲の機材で、一昔前のプロを凌ぐような写真を撮れるようになったのでいい時代です。
サイトロンQBPフィルター
都会で星雲を撮影するなら必須アイテムとも言えるフィルターです。光害を強力にカットしつつ、主に星雲が発するHα, Hβ, OIII, SIIの4つの波長を通すようになっています。いくつかのメーカーから似たような特性のフィルターが発売されていますが、価格対性能のよさから人気があるようです。
ZWO ASI294MC Pro
ここ数年で一気にメジャーになった感のあるZWO社の天体専用カメラです。高感度のm4/3サイズのセンサーは星雲・星団・銀河などDSOの撮影にちょうどいいです。
ZWO ASIAIR Pro
ASIAIR ProはRaspberry Piベースの小型デバイスです。これがあれば、赤道儀のコントロール、オートガイド、撮影などがスマートフォンやタブレットだけでできます。ZWO社のカメラを持っているなら買って損はないと思います。 hoshimiya.com
M27亜鈴状星雲
夏の大三角の中にある夏を代表する天体の1つです。緑のOIIIと赤のHαで光っているのでQBPフィルターとは相性がいいです。遠征してきたのとほぼ変わらない写りだと思います。亜鈴状というよりラグビーボール状に写すことができました。
M16わし星雲
こちらも夏を代表する天体の1つです。主にHαで光っている赤い星雲なのでこちらもQBPフィルターとは相性抜群です。ハッブル宇宙望遠鏡の写真で有名な創造の柱がはっきりと写りました。自宅からここまで写るとは感動ものです。
ハッブルの写真はこちら。自宅からちょっとハッブル気分です。 natgeo.nikkeibp.co.jp
撮影データ
M27もM16も同じ条件で撮影しました。どちらも露出時間はちょうど1時間です。
- BORG 107FL + 7108フラットナー (648mm, f/6.1)
- サイトロン QBP Filter
- ZWO ASI294MCPro (gain390, 冷却0C)
- ZWO ASIAIR Proで撮影・オートガイド(30mm, f/4, ASI290MC)
- Sky-Watcher EQ5GOTOで追尾
- Deep Sky Stacker でスタック(60s x 60フレーム, ダーク20フレーム, フラット20フレーム)
- ステライメージ8でトーンカーブ調整等
- Topaz DenoiseAIでノイズ除去
撮影風景はこんな感じです。光害がひどいので肉眼では2等星すらよく見えません。
というわけで、最新機材のおかげで、都会でも、月や惑星だけでなく、星雲の撮影も楽しめるようになりました。自宅でできることは増えましたが、天の川などは遠征しないと見えないので、この状況が落ち着いたらまた遠征したいなと思います。
Sky-Watcher EQ5 GOTO赤道儀(ステンレス三脚仕様)
- メディア: エレクトロニクス